世界で一番不運で幸せな私 /2003年フランス

ヨーロッパで大ヒットしたというラヴストーリー。「なぜだかいつも、からまわり」。これはとっても上手いキャッチコピーだ。

ポーランド移民の子として苛められていた8歳のソフィー。元気付けようとメリーゴーランド型の缶を渡す8歳のジュリアン。死期の近い母からもらったお気に入りの缶なので「たまには返して」との言葉付で差し出すとソフィーは、
「ゲームをやって勝ったら返してあげるわ。のる?のらない?(Cap? ou pas cap?)」
この一言が人生を決定付けるものに。断わることが出来ない二人は何十年もゲームをやり続ける羽目になる。

子供時代も大人になってからもソフィーとジュリアンは表情が魅力的。大人になったジュリアン役ギョーム・カネは思ったよりも全然素敵で、ソフィーを想うあまりに涙ぐみ、言葉が出なくなるシーンは思わずこちらの母性本能がくすぐられる〜。恋愛の国の俳優さんですよ(笑)
ソフィー役のマリオン・コティヤールも学生時代から10年以上の年月の流れに沿って様々な雰囲気で登場し魅力的。

子供の頃の他愛無いイタズラレベルが大人になるにつれ、お互いの好意を素直に伝えられない代わりにだんだんエスカレート。相手にいえない本音が歪んだ形へ相手への要求となりそれをクリアするゲームとなってしまう。
ジュリアンは母親を早くに亡くし、父親から大人になれと云われて戸惑っている。自分の中の迷いが大きくてここぞ、と言うときにはっきりしない。ソフィーは、移民の子であり生活レベルなどがジュリアンと違う所にコンプレックスを持っている節があって、ジュリアンと対等にいようとするあまり自分から気持ちを素直に言うことが出来ない。
いつまでも心の中は大人になりきれない2人が自分の居場所を求めてやり続けるゲーム。大人になるほど周囲の人を巻き込む大掛かりなものになってしまう。

冷静にみると、えらくはた迷惑な男女なんです。さっさと告白しろ、と言いたいところですが、相手の気持ちを探りあうことでしか相手と繋がっていられない焦燥感とせつなさがあって、早く大人になってと思う反面、いつまでも子供だからこそ延々と深いところで通じ合っている2人を羨ましくもあり。

劇中でも「この2人おかしい、狂ってる!」などと言われる場面があるのですが、でも大ヒットするっていうのは国民性ですかね。可愛いとか美しいとかっていう恋愛モノじゃあないと思うんですよ。人間の毒気いっぱいの話。だいたいお互いにゲームで痛い目にあって、次こそは相手に素直になろうとすると、相手は必ず更に強烈なゲームで返してきてまたお互い傷つくの繰り返し。
周囲も完全無視。完全に2人の世界。
お互い別々にパートナーができるんですが、私はその人たちが気の毒に思えちゃって完全には入り込めず。かなり変わったラストで面白いのですが、ベビーブームを起こすかもしれないという批評のあるヨーロッパは私の理解の範疇を超える。

映像的にティムバートンや、ジェン・ピエールジュネに例えられたりもしていますが、傾向としては似ているかもしれません。が、画面は2人よりも更に明るい軽い感じで、逆にストーリーは2人よりも断然毒が強い。ぼけっとみていると展開の強烈さに唖然とします。観終わって後味が悪いと思う人もいるかも。男性には嫌な女性に見えるかもしれないですね。私は主役2人の個性でいびつだけと魅力的に見せていると思います。
最後に、マリオンコティヤールはバートンの「ビックフィッシュ」にも出ていて、次回作はジュネ監督。期待の女優さん♪楽しみ。