ある子供 /2005年ベルギー・フランス合作

近年大人になりきれずに無軌道なまま人生の路頭に迷っている人間の映画が増えている。日本でも問題になっているが、ベルギーの場合は、変に親から突き放され「家」という居場所がない分よりいっそうすさんで見える。(でもこれは親の再婚率の問題も関係しているかもしれないが)

確かなものは、若い女性ソニアの不安定ながらも産まれたばかりの息子ジミーに向けられる産まれてきてくれた喜びといとおしさだけだ。

安い賃金で働くことが「格好悪いこと」と突っぱね、盗みで生きている男ブリュノ。ソニアとの間に子供が出来ても、自分のことで手一杯な彼はいまいち頼りない。
そして軽い気持ちで、ジミーを売ってしまうのである。

何も知らないうちに子供を売られてしまったソニアはショックのあまりに気絶。
そこではじめて自分が取り返しのつかないことをしたことに気づく。

「ある子供」は二人の息子ジミーであり、またこの二人の男女、ブリュノとソニアをも指しているといっていい邦題だと思う。
自分の身勝手さに向き合えずあがくブリュノが痛々しい。

盗み仲間の14歳の少年と20歳のブリュノとの違いは体格だけ。けれども画面で彼らに嫌悪感は感じない。
先をみると押しつぶされそうなのが画面から伝わるから。

ブリュノが下した決断が、彼をやっと大人にする。若い二人がおでこを寄せ合って、笑い、泣く姿。身につまされる。
けれど、あのラストを「希望」と呼んでいいものか。重い感情が残る。状況は変わってはいないから。大人になったところで 彼らは親として責任を負うことができるのだろうか?その解がまったく提示されていない。徹頭徹尾、俯瞰の立場で撮られていることに なんとなく消化不良な気持ち。
生きていなければ涙を流すことも出来ないけれども。

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